万葉集の花・ニワトコ
那須に住むようになり、いちばん
最初の春に覚えた木の名前が、
このニワトコです。
ニワトコは、庭に自生していた古木でしたが
いまでは、もう枯れてしまいました。
春いちばんに白い花を咲かせ、その後に
赤い実がなるのを楽しみにしていました。
ニワトコは、「山たづ」という名前で
万葉集巻2-90に出てきます。
「君が行き日(け)長くなりぬ山たずの
迎えを往(ゆ)かむ待つには待たじ」
衣通王(そとおりのおおきみ)の歌ですが、
彼女は、あまりにも美しいので、衣を通してまで
美しく輝いて見えたという女性です。
衣通姫は、古事記によれば、
軽大郎女(かるのおおいらつめ)とも呼ばれ、
兄の軽太子(かるのひつぎのみこ)と、
愛し合うようになりました。
同じ母を持つ兄妹の結婚は禁じられていたため、
軽太子は、伊予国に流罪になってしまいました。
そのときに、恋慕のあまり軽大郎女が作った
歌ということです。
歌の意味は、あなたが行ってしまわれてから
もう何日もたちました。お迎えに行こう。もう
待ってなどいられないから・・・」
ニワトコの花を見る度に、万葉の昔から
日本に自生していた木なのだと、しみじみと
思います。
ニワトコの葉は、対生なので、「迎へ」に
続く枕詞になっているということです。
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