「夕顔」白洲正子著を読みました。
白洲さんの本は、以前から好きで
集めていて、
よく読んでいました。
この本は、
久しぶりに再読したのですが、
白洲さんの晩年のエッセイを
集めたもので、
本のタイトルになっている夕顔も
その中の短いエッセイです。
夕顔は、白い朝顔に似た花ということですが、
白洲さんは、お好きだったようで、毎年育てて
いらしたそうです。
あるとき、白洲さんは、夕顔が花開く瞬間を
見たいと思われ、夕方の4時ころから
夜の11時ころまで、がんばって
見ていらしたそうです。
でも、夕顔の蕾は、
最後には
彼女の言葉で言えば
生きる力を失ってしまい
何と地に落ちて
しまったということです。
そのことから、
白洲さんは、
夕顔は
非常にデリケートな植物なので、
花を咲かせるという秘事を、
凝視されることに
耐え切れなかったからなのでは
と書かれています。
そして、その後、白洲さんは、
源氏物語の「夕顔」にも
思いを馳せて
いらっしゃいます。
作者の紫式部は、
そのような夕顔の花の習性を
知っていたので
あの「夕顔」の
はかない物語を書いたのではと
考察していらっしゃいます。
わたしは、まだ
夕顔の白い花を、見たことが
ないのですが、
見る機会があったときには
白洲さんの夕顔の話と、源氏物語の
夕顔のことを、
きっと
思い浮かべるだろうと
思いながら、本を閉じました。
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