「薔薇色のゴリラ」を、読みました。副題に「名作シャンソン百花譜」とあります。
ドラマのないシャンソンはつまらない。歌詞をたどるだけで、短編小説や三幕ものの芝居を読んだり、観たりするような感動を受けるのがシャンソンの醍醐味であると、塚本さんは
書かれていますが、わたしも同感です。
この本のタイトル名にもなった「薔薇色のゴリラ」とは、ジョルジュ・ブラッサンスのことですが、他にもエディット・ピアフやイヴ・モンタンの論もありました。
エディット・ピアフ論は、「地獄の薔薇」というタイトル。
ピアフの歌で圧倒的におもしろいと、塚本さんが推薦なさっている「カルメン物語」を、ユーチューブで聴いてみました。
塚本さんのおっしゃるまさに物語がありました。
ピアフの独特の声を、塚本さんは一度聴いたら生涯忘れられない声と、おっしゃっていて頷けるのですが、わたしには彼女の声は、いつもセピア色のような味のある声に聞こえます。
イヴ・モンタン論は、「悍馬微笑」というタイトルですが、何となくわかるようで、笑ってしまいます。
わたしは、イヴ・モンタンの大ファンなのですが、まさに若いころの彼は悍馬だったのかもしれません。
マルセイユの潮風の匂うような兄(あん)ちゃんで、まさに牡の魅力・男の原型と、塚本さんは言いきられています。
プレヴェール=コスマ物の「お祭りは続く」を、塚本さんは「ときどき彼の最高作に擬することもある」と、おっしゃっていますが、この歌もユーチューブで早速、聴いてみました。
酒場にトタン屋の職人がはいってきて、お酒を飲みいい気分になってくだをまいて、帰るという歌ですが、陽気で気分のよい歌になっています。
モンタンの味わいのある個性が出ていて、聞き惚れてしまいました。
この本は、昭和50年に書かれているので、もう40年も前の本です。 モンタンも、その後、悍馬から渋い男になったのですが、その彼も、今はもういません。
塚本邦雄さんのシャンソン論は、やはり塚本邦雄さんの個性そのままで、歌人としての卓越した感性が感じられました。
塚本邦雄さんのシャンソン論は、やはり塚本邦雄さんの個性そのままで、歌人としての卓越した感性が感じられました。
この本は、塚本さんがマニヤックに大好きだった正統派のシャンソンへのオマージュのように思えてなりませんでした・・。
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