今年はヤマユリの開花が早いようです。この写真は、7月13日の散歩のときに見たヤマユリです。今日は26日ですが、猛暑の中、まだまだ元気にあちこちで咲いています。
牧野富太郎さんの「植物知識」という本に、ヤマユリの話が書かれていました。牧野さんによればヤマユリは、「関東諸国に野生し、食用として上乗(じょうじょう)なもので、古(いにしえ)より、料理ユリという名がある」とのこと。また「ヤマユリという名前は、なんとなく土臭い感じがして上品ではない。「ヨシノユリ」か「リョウリユリ」と呼んだほうがいいのでは」とも書かれているのですが、彼の独特の個性が感じられました・・。
吉田秀和さんの著書の「音楽の旅・絵の旅」は、友人に教えていただいた本です。ネットで調べたところ後半は「音楽の光と翳」というすでに
持っている本と重複するのですが、前半の吉田さんのバイロイト経験を読みたいと思い購入しました。
わたしにとってバイロイトは、訪ねたこともあるなつかしい場所で、ワーグナーの曲は、わたしの強烈な音楽体験をしたことがある思い出の音楽でもあるからです。その音楽体験とはアムステルダムでのこと。曲はコンセルトヘボウ管弦楽団が演奏した「タンホイザー序曲」でした。指揮はリッカルド・シャイー。曲がはじまりしばらくすると体が硬直し、涙まで出てきたのでした・・。
それは多分、いま考えてみると、ヴァーグナーの曲の魔力のようなものだったのかもしれません。「もしも知識がまったくないままにヴァーグナーの作品が聴けたなら、どんなに幸運なことだろう。」と堀内修さんが「ワーグナー」という本に書かれているのですが、わたしもその幸運なひとりだったようです!
吉田さんがバイロイトでの「ニーベルングの指環」四部作の音楽から感じとられたのは、「人生の芸術化」だったとのこと・・。
吉田さんは「芸術とは何だろうか?と思う。」というつぶやきからはじめられています。ルノワールは人生は辛いものだから、人生とは別の美しいものを芸術は創るという姿勢、そしてマラルメやボードレールも然り・・・。
でもヴァーグナーの思想はそういうものではなく、「人生全体の芸術化」だったのだと断定なさっています。吉田さんらしいヴァーグナー論だと思ったのですが、プルーストにも通じるものがあるようにも思いました。
0 件のコメント:
コメントを投稿