一昨日の土曜日に、文京区の水道端図書館で、樋口一葉の「十三夜」の朗読を聴いてきました。
樋口一葉の絵
朗読は深野弘子さんでしたが、まるで十三夜の朗読をするために生まれていらしたかのようなお声で、さすがと聞きほれてきました。
十三夜は、名家に嫁いだ主人公が、夫の虐待に耐えかねて離縁しようと決心し、十三夜の夜に実家に戻るところからはじまります。
両親にさとされ人力車に乗って帰ることになるのですが、その人力車の車夫が昔好きだった人で、いまは生活も荒れ落ちぶれているのでした。
車夫に心付けを包み、二人が別れるところで話は終わります。
一葉は、主人公や両親の辛い心情、そして、初恋の人との思いがけない再会などを、
十三夜という一夜の出来事として見事に描いています。
ところで、先月の11月23日は、樋口一葉の命日でしたが、ちょうどその日に、一葉が通ったというゆかりの伊勢屋質店の内部が、公開されていたので見てきました。
一葉の日記には、伊勢屋質店のことが何度も出てくるのですが、明治26年4月3日の日記に、初めて伊勢屋質店のことが書かれています。
「この夜伊せ屋がもとにはしる」
一葉は、明治29年に亡くなっていますので、初めて伊勢屋に走ってから亡くなるまでの3年間は、貧しく苦しい生活の中、名作を書いた時期でもあったようです。
この「十三夜」も、亡くなる前年の23歳のときに発表されています。
深野弘子さんの「十三夜」の朗読は、こころにしみるような読み方で、朗読の世界のすばらしさを、教えてくださったように思います。
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