2015年3月8日日曜日

「人間の土地」サン=テグジュペリ著



いつまでも大事に本箱にとって
おきたいと思う本が
ありますが、
この本は、
その中の一冊です。


「人間の土地」
サン=テグジュペリ著
堀口大學訳 新潮文庫

わたしは、いつもこの本の
最初の2ページを読むだけで
彼は、詩人だったのだと
再確認させられます。


彼は、郵便物を運ぶ
路線パイロットでしたが、
最初の夜間飛行から見た
景色をこのように書いて
います。
・-・-・-・-・-・-・-・-・
「ぼくは、アルゼンチンにおける
自分の夜間飛行の晩の景観を、
いま目のあたりに見る心地がする。
それは、星かげのように、
平野のそこここに、
ともしびばかりが輝く
暗夜だった。
 あのともしびの一つ一つは、
見わたすかぎり一面の
大海原の中にも、
なお人間の心という奇蹟が
存在することを
示していた。」
・-・-・-・-・-・-・-・-・
            引用7p

この文を読むと、いつも
胸がきゅんとしてしまいます。

高台にある我が家の
2階の窓からも
夜になると
遠くの街の灯が、
ちかちかと
見えるのですが、


あのともしびのひとつの
中には、それぞれの人間の
こころがあるのだといった
サン=テグジュペリの言葉を
思い出すからです。

 ・-・-・-・-・-・
「真の贅沢というものは、
ただ一つしかない。
それは、人間関係の贅沢だ。」
・-・-・-・-・-・

彼のこのような考えは
あの名作、
「星の王子様」へと
つながっていくのだと
思います。


彼が、砂漠に不時着して砂と星の
あいだを3日間さまよっていたとき
夢想していたのは、

彼の住んでいた家の匂い
廊下のさわやかさ
池の中にいる蛙の歌
そこに住んでいた女性の言葉
などでした。


そして、
家のありがたさというものは、

おびただしいほどのやさしさを
心の中に蓄積してくれること

夢を生み出してくれること

に思い当たるのでした。


彼はこんなことも言っています。

・-・-・-・-・-・
「愛するということは、
おたがいに顔を見あうことではなくて、
いっしょに同じ方向を見ることだ。」
・-・-・-・-・-・

サン=テグジュペリは、、
職業飛行家でしたが、
詩人でもあり
人間を考える
哲学者でもあったのだと
思いました。















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