2018年2月9日金曜日

「プレヴェール詩集」ジャック・プレヴェール






  友人から誕生日のプレゼントに、「プレヴェール詩集」小笠原豊樹訳 岩波文庫を、いただきました。



 プレヴェールと言えば、イヴ・モンタンの歌う「枯葉」や、反戦歌「バルバラ」そして「学校から出てきたら」の歌詞を作ったシャンソンの作詞家として知っていたのですが、彼の詩集を読んだのは、はじめてでした。(この詩集にもこの3つが出ていました)

 彼の詩は、やさしい言葉で、人生や、愛、反戦の気持ち、動物に対する愛などを、綴っています。


        


 わたしは、この詩集の中で「朝の食事」という詩が印象に残ったのですが、こんな詩でした。
・-・-・-・-・-・-・-・
「朝の食事」
          ジャック・プレヴェール
茶碗に
コーヒーをついだ
茶碗のコーヒーに
ミルクをいれた
ミルク・コーヒーに
砂糖をいれた
小さなスプンで
かきまわした
ミルク・コーヒーを飲んだ
それから茶碗をおいた
私にはなんにも言わなかった
タバコに
火をつけた
けむりで
環(わ)をつくった
灰皿に
灰をおとした
私にはなんにも言わなかった
わたしの方を見なかった
立ちあがった
帽子をあたまに
かぶった
雨ふりだったから
レインコートを
身につけた
それから雨のなかを
出かけていった
なんにも言わなかった
私の方を見なかった
それから私は
私はあたまをかかえた
それから泣いた。
・-・-・-・-・-・-・-・
      引用 「プレヴェール詩集」小笠原豊樹訳 岩波文庫                  




 詩人の谷川俊太郎さんも、この詩「朝の食事」がお好きなようで、この本の後ろにこんなことを書かれていました。

 谷川さんは、最初にこの詩を読まれた時、男に捨てられた女の詩だと思い、次には兄貴に叱られた弟の詩、そして今では仲間を裏切った労働者の詩というふうに変わっていったのだそうです。

 そして、このように、いろいろな想像を読者に読ませることができるのがこの詩の魅力であり、また、この詩を詩人として読んだ場合には、容易に手が届きそうで永久に届かない詩になったとのことでした。




 改めてこの詩を読み返してみると、簡単なやさしい言葉で、さらりと日常のひとこまを切り取って書いてあるのですが、谷川さんが言われているように、いろいろな人生を想像させてくれる詩なのですね。

 もうひとつ「庭」という詩にも心惹かれたのですが、とてもプレヴェールらしい詩で、映画のワンシーンのように映像が浮かびました。これぞプレヴェールの詩ですよね。

・-・-・-・-・-・-・-・
「庭」
         ジャック・プレヴェール

千年万年の年月も
あの永遠の一瞬を
語るには
短すぎる
きみはぼくにくちづけした
ぼくはきみにくちづけした
あの朝 冬の光のなか
パリのモンスリ公園
パリは
地球の上
地球は一つの惑星(わくせい)。
・-・-・-・-・-・-・-・
    引用 プレヴェール詩集 小笠原豊樹訳 岩波文庫


すてきな詩だと思います。
好きな詩です。

 この詩集の最後に、シャンソンとして、「枯葉」が、載っていたのですが、耳慣れてるイヴ・モンタンのCDのフランス語の最初のつぶやきが聞こえてくるようでした・・。







 

0 件のコメント:

コメントを投稿