最近、室生犀星の本や詩集を、読み直しています。
室生犀星は、「私は抒情詩を愛する」と言っていますが、わたしも彼の抒情詩は、とても好きです。
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雪くる前
室生犀星
ひちすぢに逢ひたさの迫りて
酢のごとく烈しきもの
胸ふかく走りすぐるときなり。
雪くると呼ばはるこゑす
はやも白くはなりし屋根の上。
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引用 「愛の詩集」 室生犀星 角川文庫 90pより
雪の降り始めの情景と、彼の切ない想いが伝わってくるような詩ですね。
この詩は、彼が20代の後半で結婚した翌年に発表されているのですが、後年には、こんな雪の句も残されています。
ゆきふるといひしばかりの人しづか
室生犀星
彼の妻のとみ子さんは、人生の後半に長年病床で過ごされていたようなので、彼女のことを詠われたのでしょうか・・。
窓の外は、今の時間は、ふわふわと風に舞っている風花のような雪になっています。
犀星の故郷は、金沢ですから、今頃はやはり、真っ白な雪景色が広がっているのでしょうね・・・。
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