きょうの散歩で、うさぎの足跡をいっぱい見ました。
早朝に、きっと、うさぎのミーティングがあったのかと思うほどでした。
「高原の古駅における、二月の対話」というサブタイトルがついているのですが、多分、軽井沢のことだと思います。
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・・・・・・だが、けふは、君のおかげで、枯木林の中の落日の光景がうかぶ。雪の面(おもて)には木々の影がいくすぢとなく異様に長ながと横たわってゐる。どこかで頬白がかすかに啼きながら枝移りしてゐる。聞こえるものはたつたそれだけ。(そのまま目をつぶる。)そのあたりには兎やら雉子やらのみだれた足跡がついてゐる。そうしてそんな中に雑(ま)じつて、一すぢだけ、誰かの足跡が幽かについてゐる。それは僕自身のだか、立原のだか・・・・・・・。
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引用「堀辰雄集」堀多恵子編 彌生書房 196p~197p
堀辰雄さんは、枯木林の落日や雪の上のうさぎなどの足跡、そして今は亡き立原道造の
足跡まで、目をつむって想像しています。聞こえるのはホオジロの声だけというのもこのような景色には、ぴったりだと思いました。
妻の多恵子さんによれば、「雪の上の足跡」は戦後に書いた唯一で、最後の随筆だということです。
幽かに雪の上に残る足跡は、彼の人生のあたたく懐かしい思い出だったのかもしれません。
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