菫(すみれ)ほどな小さき人に生れたし
漱石
この漱石の菫の句のことは、以前にもこのブログで書いているのですが、漱石の人柄が思われ、好きな俳句のひとつです。
今年はスミレの開花が早く、南斜面では、昨日の4月1日に開花を確認したのですが、きょうは、同じ場所でこんなに咲いていたので、驚きました。
「漱石俳句集」に、こんな菫の句を見つけました。
大和路や紀の路へつづく菫草(すみれぐさ)
漱石
大和路や紀の路を歩いたときに、すみれがいっぱい咲いていたのでしょうが、なんとなく光景が目に浮かぶようです。
漱石がロンドンに留学していたときに作った菫の句もありました。
見付けたる菫(すみれ)の花や夕明り
漱石
この句は、ある詩人の詩を読んで非常にうれしかった時と添え書きがあるそうですが、
どの詩人が作った何という詩なのかしらと、想像してしまいました。
漱石のロンドンでの生活は、精神的にも辛いものがあったようですから、夕明かりの中で読んでいた詩に、すみれという言葉を見付けたときに、何か感じるものがあったのでしょうね。
骸骨を叩いて見たる菫(すみれ)かな
漱石
骸骨とは、不思議に思い、解説を読んでみると、
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小松武治訳「沙翁物語集」の序として作られた「子羊物語に題す十句」。シェークスピアの原文を引いたあとに俳句を記している。
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と、書いてありました。
漱石の友人の子規は、漱石の俳句の特徴を、滑稽思想があると言っているのですが、この句にもユーモアが感じられますよね。
夏目漱石は、生涯で約2600もの俳句を残しているということですが、この俳句集には848句載っていました。
この菫の4句の中では、やはり冒頭の句が、一番好きです。
菫(すみれ)ほどな小さき人に生れたし
漱石
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