オカトラノオという面白い名前の花が咲いています。虎の尾に似ているから名付けられたとのことですが、かわいらしい小さな白い5弁の花が星を集めたようにいっぱいついていて、見るたびにいつも、舞妓さんの「はなかんざし」にしたら、似合うのではないかしらと、思ってしまうのです・・。
この本の解説を書かれている橋本治さんの文は、何度読み返しても、読み返すたびにいつも、感服してしまうのですが、橋本治さんは、この「王朝百首」は、日本国民必読の書と、断定なさっているのが、彼らしいなあと思ってしまいます・・。
橋本さんは、もう亡くなられていますが、1974年の12月、26歳のときに、はじめて書店で函入りのこの本を函からだして、ご覧になられ、そのときに、そこにはただ「美しいもの」が、並んでいたとのご感想なのでした・・。
この「王朝百首」を書かれた塚本邦雄さんは、前衛歌人ですが、「小倉百人一首」に秀歌はないと断定なさり、王朝の和歌の中から、彼の審美眼で選び抜かれた百首を、掲載なさっていて、見事です。
塚本さんによれば、王朝の和歌は、日本の言葉の「さはやかさ」「あてやかさ」であり、それを現代によみがえらせたいという趣旨でこの「王朝百首」という詞華集を編まれたとのことです・・。
わたしが一番好きな歌人の式子内親王の和歌からは、2首選ばれています。
「盃に春のなみだをそそぎけるむかしに似たる旅のまどゐに」 式子内親王
「ほととぎすそのかみ山のたびまくらほのかたらひし空ぞ忘れぬ」 式子内親王
定家からは、
「移香(うつりが)の身にしむばかりちぎるとて扇の風の行方たづねむ」 藤原定家
そして、塚本さんの最愛の歌人とおっしゃる、藤原良経の和歌からはこの2首です。
「あすよりは志賀の花園まれにだにたれかはとはむ春のふるさと」 藤原良経
「さびしさや思ひ弱ると月見ればこころの底ぞ秋深くなる」 藤原良経
美しい和歌を集めて入れた花かごである「花筐」という言葉がぴったりの本だと改めて思ったのでした・・。