今年も、秋になると楽しみにしている「イワガラミ」の紅葉がすてきになりました。今年の紅葉は、昨年よりも少し早いように思います。
いつもながら、赤、オレンジ、黄色、ピンク、むらさきと、さまざまな色に変化する紅葉には、自然のすばらしさと、神秘を感じてしまいます。
川端康成さんの「掌の小説」を、読みました。川端康成さんの本は、ノーベル文学賞を受賞なさったときの講演、「美しい日本の私」を、読んで以来の読書でした。「美しい日本の私」は、何度か読み返している好きな本で、このブログには、2021年1月17日にも感想を書いています。
「美しい日本の私」の中でいつも思い出すのは、「雪・月・花」という四季の移り変わりをあらわす言葉の紹介でした。川端康成さんは、日本においてこの「雪・月・花」とは、自然のすべて人間の感情をも含めての「美」をあらわすのが伝統であると、述べられていたことでした・・。
この「掌の小説」は、短編を集めた小説集ですが、川端さんによれば、作品の大半は二十代のころに書かれており、多くの文学者が、若いころに詩を書くように、そのかわりに彼は、この「掌の小説」を書かれたのだとか。
この「掌の小説」の中で、わたしがいちばん、心惹かれた短編は、「有難う」でした。それは、こんな短い季節をあらわす言葉で始まっています。
「今年は柿の豊年で山の秋が美しい。」
簡潔な文ですが、日本の秋の光景が目に浮かぶようです。そして、この話には、「ありがとう」といつも道路で道をゆずってくれた相手に、律儀に伝えるやさしいバスの運転手と、もよりの鉄道のある駅まで、そのバスに乗って娘を売りに行く母親と、その娘との、3人の話です。
この5ページあまりの短編小説の終わりにも、
「今年は柿の豊年で山の秋が美しい。」
と、同じ言葉が繰り返されており、人生の悲哀が語られているのにもかかわらず、なぜか、読後にさわやかな余韻さえ感じられる一篇でした。
そして、繰り返される
「今年は柿の豊年で山の秋が美しい。」
という日本の四季をあらわす簡潔な言葉にも、詩情がこもっていると、深く感じられた読書でした・・。
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