2014年11月1日土曜日

読書・リルケの詩「秋の日」



 散歩道でこんな風景を見ました。

    家の壁に差すあたたかい秋の日ざし
    やさしい色のメグスリの木の紅葉
    草原のへりにおちていた鳥の巣
    牧草地にあたるやわらかな太陽
    そして
    いまにも飛んでいきそうなノアザミの綿毛

 まるで、ドイツの田舎道を散歩しているような気分になりました。




 リルケの「秋の日」という詩があります。

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秋の日
                       リルケ


主よ 秋です 夏は偉大でした
あなたの陰影(かげ)を日時計のうえにお置き下さい
そして平野に風をお放(はな)ち下さい

最後の果実にみちることを命じ
彼等になお二日ばかり 南国の日ざしをお与え下さい
彼等をうながして円熟させ 最後の
甘い汁を重たい葡萄の房にお入れ下さい

いま 家のない者は もはや家を建てることはありません
いま 孤りでいる者は 永く孤独にとどまるでしょう
夜も眠られず 書(ふみ)を読み 長い手紙を書くでしょう
そして並木道を あちらこちら
落ち着きもなくさまよっているでしょう

               「形象集」から

            富士川英郎訳  新潮文庫49p引用

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  リルケといえば、「若き詩人への手紙」の中のこんな言葉が忘れられません。
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「もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないか
どうか、自分自身に告白してください。」
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 詩人になりたいという若者にリルケが言った言葉ですが、すごいなあと思いました。
 たしかに詩人に限らず芸術家は、自分の命とひきかえにしても芸術を守りたいというのは、わたしにも理解できます。

 「秋の日」という詩は、そういう詩人が書いたのですよね・・・・。
        わたしの大好きな詩です!













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