2015年2月16日月曜日

「海からの贈物」リンドバーグ夫人著 吉田健一訳



「海からの贈物」リンドバーグ夫人著
吉田健一訳・新潮文庫を、読みました。


この本は、何回か読んでいるのですが
今回、吉田健一さんの訳だったのだと
改めて気づきました。

著者のリンドバーグ夫人は、
史上初の大西洋単独横断飛行をした
チャールズ・リンドバーグが夫で、
彼女自身も飛行家であり、
大戦の後、フランスやドイツで
罹災民の救助事業をした女性ということです。

この本は、著者が49歳のときに、
ある島でひとりで休暇を過ごしたときの
自分自身についての人生の対話を
本にしたものです。

彼女は、まず浜辺で拾ったほら貝を
見つめることから、思索を初めています。
     

ほら貝の簡素な美しさからは、
自分の生活の不必要なものを捨てること
どれだけ少ないものでやっていけるのか
などを考え


つめた貝
日の出貝
牡蠣
など、次々に貝を
見つめることから
思索を広げていきます。


牡蠣のところでは、人生の午後には
知的な精神的な活動に時間をさいて
過ごすことができると
書いていますが、
わたしも、実感として
よくわかります。

最後に自分の価値の概念が

質ではなく量が
静寂ではなく速度が
美しさではなく所有欲が


となってしまわないようにするのには
どうすればよいのか・・。
と考えます。

そして、
考えた結論を
後で思い出すために、

拾った貝柄を持ち帰る
というところで思索は
終わります。

彼女は、
自分の人生の価値の基準を

量ではなく、質
速度ではなく、静寂
所有欲ではなく、美しさ

に置きたかったようです。

この本は、第二次大戦後の
1955年、彼女が49歳のときに
書かれていますが、
当時アメリカでは、ベストセラーに
なったということです。


















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