2015年2月17日火曜日

「浅き春に寄せて」立原道造



立原道造の詩は、
学生時代から、大好きでした。



彼の詩を、音楽を入れて
朗読したものを録音したり、

立原道造が24歳のときに
滞在したという盛岡の
深沢紅子さんの別荘を訪ねたり、


建築家でもあった彼が設計した
別所沼のほとりに建つ
風信子(ひやしんす)ハウス
を、訪ねたり

楽しい思い出が、いろいろ
あります。


そして、
2月になると、
いつも思い出すのが
この「浅き春に寄せて」
という詩です。


詩は、
「今は 二月 たったそれだけ」
で始まるのですが、
二月生まれのわたしにとっては
道造からのプレゼントのようにも
思えて、大好きな詩です。


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「浅き春に寄せて」
             立原道造

今は 二月 たつたそれだけ
あたりには もう春がきこえてゐる
だけれども たつたそれだけ
昔むかしの 約束はもうのこらない

今は 二月 たつた一度だけ
夢のなかに ささやいて ひとはゐない
だけれども たつた一度だけ
その人は 私のために ほほゑんだ


さう! 花は またひらくであらう
さうして鳥は かはらずに啼いて
人びとは春のなかに 笑みかはすであらう

今は 二月 雪の面(おも)につづいた
私の みだれた足跡・・・・それだけ
たつたそれだけー私には・・・・・

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  引用 立原道造詩集 彌生書房










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