2014年7月11日金曜日

読書・「すみだ川」永井荷風著 筑摩書房 ( ドナルド・キーンさんが涙ぐまれた荷風の美しい日本語・・)




 シモツケソウのかわいい薄紅色の花が、庭で、咲いています。よく見ると小さな花がいっぱい集まっていて、花かんざしのようです。七五三のお祝いの時の女の子の晴れ着の髪飾りに、ぴったりかもしれません・・。

  シモツケソウという名前も栃木県を意味する古い言葉の「下野(しもつけ)」に由来している花なので、この花が咲くといつも「下野」という古い言葉を連想して、ゆかしく感じてしまうのです。





 ドナルド・キーンさんの自伝を読んでいましたら、こんなことが書いてありました。

 キーンさんが、最初に来日なさった折のことです・・。

 二年間の楽しく有意義だった日本滞在を終えて、日本を離れるとき、もう日本に来ることはできないだろうと考えると、とても辛く悲しかったそうです。

 そして、日本を離れる飛行機の中で永井荷風の「すみだ川」を読んだとき、荷風の美しい日本語に思わず涙が出そうになったということでした・・。

 早速、わたしも「すみだ川」を、読んでみたのですが、引用してみます。

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 朝夕がいくらか涼(すず)しく楽になったかと思うと共に大変日が短くなって来た。朝顔の花が日ごとに小さくなり、西日が燃える焔(ほのお)のように狭(せま)い家中へ差し込さしこ)んで来る時分になると鳴きしきる蝉(せみ)の声が一際(ひときわ)耳立って急(せわ)しく聞える。八月もいつか半(なかば)過ぎてしまったのである。家の後の玉蜀黍(とうもろこし)の畠(はたけ)に吹(ふ)き渡(わた)る風の響(ひびき)が夜なぞは折々(おりおり)雨かと誤(あやま)たれた。
ー・-・-・-・-・-・-・-・         
                 引用
            永井荷風ちくま日本文学 筑摩書房
                         45p


 キーンさんが言われた「美しい日本語」とは、このような少し古風だけれども端正な日本語のことだったのだと、思いました。

 荷風の小説は、学生時代に「ふらんす物語」などを、読んだのを覚えているのですが、キーンさんにあらためて、荷風の小説の日本語の美しさを、教えていただいたのは、とても新鮮な感じがしたのでした・・。


   
                                             


           「すみだ川」永井荷風著 ちくま日本文学











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