ドナルド・キーンさんの自伝を読んでいましたら、こんなことが書いてありました。
キーンさんが、最初に来日なさった折のことです。
二年間の楽しく有意義だった日本滞在を終えて、日本を離れるとき、もう日本に来ることはできないだろうと考えると、とても辛かったそうです。
そして、日本を離れる飛行機の中で永井荷風の「すみだ川」を読んだとき、荷風の美しい日本語に涙が出そうになったということでした・・。
早速、わたしも「すみだ川」を、読んでみたのですが、こんな箇所がありましたので、引用させていただきます。
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朝夕がいくらか涼(すず)しく楽になったかと思うと共に大変日が短くなって来た。朝顔の花が日ごとに小さくなり、西日が燃える焔(ほのお)のように狭(せま)い家中へ差し込さしこ)んで来る時分になると鳴きしきる蝉(せみ)の声が一際(ひときわ)耳立って急(せわ)しく聞える。八月もいつか半(なかば)過ぎてしまったのである。家の後の玉蜀黍(とうもろこし)の畠(はたけ)に吹(ふ)き渡(わた)る風の響(ひびき)が夜なぞは折々(おりおり)雨かと誤(あやま)たれた。



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